須磨アルプスの後は順調に東山を通過して,横尾団地,妙法寺と通過した。妙法寺交差点からの上り坂を登っていると,旗振山付近でついていけなかった速い女性に抜かれた。どうもトイレに寄っていたらしい。後ろから速い人が来たなぁ,と思ったら,その人で,あっという間に抜かれてしまい,やっぱりついていけなかった。高取山に登る前にも気休めにアミノバイタル4000を飲んでおいた。高取山を登り始めると,いきなり片方の Z 型ストックの先が抜けてしまった。ブラックダイヤモンド社製のストックで,軽くてお気に入りなのだが,どうやら3分割されているパーツをつなぐ中の紐が切れたみたいだった。とりあえず外れた部分をはめればストックとしては使えるので,なんとかだましだまし使うことにした。高取山の山上域は無難に通過し,月見茶屋前で売っていたバナナを買った。その場で食べてゴミを捨てればよかったのだが,安井茶屋横の公園のトイレに行った後の下りで食べた。そしてそのゴミをおにぎりの入った袋に入れて歩いた。これが悲劇のもとで,掬星台に着いた時におにぎりを食べようと思ったら,バナナの皮が黒くぐちゃぐちゃになっていて,おにぎりも汚れていた。すごく寒かったのもあるが,汚れたのを見てそのおにぎりを食べる気が失せてしまった。バナナの皮はゴミ用の袋に入れないとあかんね。
安井茶屋横の公園のトイレに寄ってから高取山を下った。その後の丸山の市街地歩きはあまり覚えていない。とりわけしんどくもなく,印象に残ってなかったみたい。鵯越駅を通過する際に時計を見ると,まだ8時になってなかった。通常,一人で歩く時には出発から3時間10分が目処なのだが,今回は2時間50分程度で歩いていた。その時,今回はかなりいい時間で歩けるかも,と思ったが,前半から色気を出すと無理して後で疲れると思ったので,タイムは気にしないことにした。さすがに鵯越駅辺りまで来ると,近くで歩いている人はみなペースが速くて,置いていかれることが増えてきた。でも,そんなことは気にせずに,目の前に見える菊水山の山頂を目指した。ここでも激しい上りに備えてアミノバイタル4000を飲んでおいた。どの程度効いたのかなぁ?菊水山の急登区間は,いつ登ってもやっぱりきつい。今回もきつかった。途中,2回ほど止まって息を整えないといけなかった。それでも,私としてはまあまあのペース(22分)で登ることができた。やはり,今回は調子がいい,と感じた。
菊水山山頂には第一チェックポイント(CP)がある。目標として,そこに9時と思っていたが,着いたのは8:45ぐらいだった。そこでチェックを受けてすぐに出発した。前回,ボランティアの時は菊水山山頂から天王吊橋までの時間配分が25分だった。今回はさすがに空いてるし,歩いている人も速い人たちばかりだったので,15分で下れてしまった。しかし,その先の鍋蓋山はしんどかった。高取山の登りですでにかなりしんどくなり,さらに菊水山に登る時に頑張ったのが効いたのか,鍋蓋山の登りは足が上がらなくて辛かった。仕方ないので,ストックを駆使して(一歩一歩登る際にストックで後ろに押して)登った。そのせいか,壊れた方のストックが再び抜けてしまった。これでは気になって仕方ない,と思ったので,鍋蓋山の山頂で,テーピング用のテープでつなぎ目を固定しておいた。この処理で抜ける心配がなくなったので,その後はストックの事は気にせずに歩くことができた。
鍋蓋山の先は比較的なだらかに大龍寺まで下る。それでも何箇所が登りがある。その登りがしんどかった。折角下りで休憩できる,と思っているので,あのちょっとした登りはしんどい。それでもなんだかんだで,大龍寺の広場に着いた。そこには例年,全山縦走大会の時にはコカコーラの人が飲み物を売りに来ている。今年も来てはったので,アクエリアスを2本追加で買っておいた。その先の大龍寺の山門では,これまた毎年豚汁を売っている。今年こそは豚汁を,と思っていたが,まだ準備中っぽかったのと,記録が出せそう,と思ったので,泣く泣くパスして市ヶ原に向かった。市ヶ原では,いつもトイレに寄るが,今回はまだ余裕だったのでトイレ休憩もせずに先を急いだ。その代わり,ここでもアミノバイタル4000を飲んでおいた。
市ヶ原から先は摩耶山まで登りが続く区間だが,ここは菊水山,鍋蓋山に勝るとも劣らないしんどい区間である。いつも1時間半以内を目標にしている。一番元気な時で1時間7分で登れたが,今回はかなり疲れていて,1時間19分かかってしまった。それでもそれまでかなり頑張って歩いたのもあり,11:17 に摩耶山掬星台に着いた。出発から6時間14分しかかからず,これまでの7時間程度から画期的に早く来れたことになる。掬星台には第二 CP がある。この CP の受付時間は12:00に設定してある。そのため40分ほど待たないといけなかった。11/13 の天候なら余裕で待てたと思うが,今回は寒くてかなり辛かった。山頂付近はよく風が通るため,気温は氷点下かも,と思うぐらい寒かった。時間があったのでのんびり休憩しようと思っていたが,ほんとに寒くて早く時間が過ぎてほしいと思うぐらいだった。それでも,トイレに行き,バナナの皮とは別にしていたおにぎりを食べ,facebook をチェックして時間を潰した。
やがて,12時が近づくとみな準備をして整列した。そして12時から受付が始まり,みな宝塚を目指して歩き始めた。掬星台から先は3回ほど短い登りを登るとアゴニー坂で一気に下る。いつものことながら,この短い登りがしんどかった。特に今回は掬星台で待っている間に体が冷え,さらに足に疲れが出てきたので,いつも以上にしんどく感じた。この時は一瞬リタイアもありうるなぁ,と考えた。しかし,神戸市立自然の家の先から始まる三国池下への登りが思ったよりもしんどくなかったので(しんどくなかったわけじゃないけど,想像よりはましだった),宝塚には行けそう,と思った。三国池下からは車道に沿って歩く。途中,藤原商店があるが,今回は飲み物,食べ物,ともにあるので通過しておいた。また,六甲山郵便局前ではいつものように甘酒を配っていた。今回は記録を気にしていたのでパスしようかな?とも思ったが,やっぱり飲みたいと思い寄っておいた。やはり甘酒はおいしかった。飲んでおいてよかった。寒い時の甘酒はやっぱりいい。
郵便局の後はもくもくと歩いた。六甲ガーデンテラスへの登りや,ガーデンテラスの後のアンテナ横への登りはしんどかったが,下を向いてもくもくと歩く作戦で乗り切った。登りで先が見えると,あそこまで頑張れば,と思って無理をしてしまうので,しんどい登りは下を向いて,気づいたら登りが終わり,という作戦を使うことにしている。旧極楽茶屋跡で車道に出るが,今回も記録を狙う,ということで登山道はパスしてしまった。速い人達も見る限りはみな車道沿いを歩いていた。しばらく歩くと,やがて一軒茶屋前のチェックポイントについた。着いた時刻を見ると午後2時前だった。掬星台から2時間で歩いてきていた。これもいつもに比べると20~30分速いペースだった。一軒茶屋CPでチェックを受け,急いで出発した。
東六甲縦走路への分岐は14:08に通過した。この先で頑張れば夢の15時台でゴールができそう,と思い,その先も修行のように頑張ってみた。さすがに人が少ないので,遅めの人がいるとすぐに抜かさせてもらえた。歩くのが速い人は抜かさせるのもうまい感じがした。水無山を越えて船坂峠を通過したのは東六甲縦走路に入ってから26分後だった。一人だと30分,友人と一緒だと40分ほどかかる区間だが,かなり早く進めた。まぁ,下りでも全然スピードを落とさずに歩いたからだが…。船坂峠から先も黙々と歩いた。その辺りでは,たまに速い人が来て抜かされる感じだった。大平山の林道に出るところにはさすがにイルミネーションは光っていなかった。というか,イルミネーションは影も形もなく,係の人もいなかった。そういえば,水無山や船坂峠の手前の急斜面,船坂峠付近にも係の人はいなかった。係の人が来るよりも前に通過してしまったみたいだった。
大平山の先は大谷乗越で県道を越える。この直前に急な下りの階段があるが,いつもそこは渋滞している。しかし,今回は渋滞なく通過できた。大谷乗越には係の人のテントがある。中に係の人がスタンバイしている話し声が聞こえたが,外にはまだ誰も出ていなかった。この先もゴールまで係の人には会わなかった。やはり早すぎたみたい。大谷乗越から塩尾寺までは,個人的には一番辛い区間だと思っている。登りはほとんどないし,あまりしんどい区間ではないが,それでもそれまで35km以上歩いてきている体にはかなりしんどい。また,風景が代わり映えしないため,どこを歩いているのか,どれだけ進んだのか,がわかりにくく,ひたすら耐えながら歩く区間というのもしんどく感じる原因だと思う。今回は時間的な目標があったので,いつにも増して一生懸命歩いた。ストックフル活用でハイペースで歩いたので,この区間で数人の方を抜かしてしまった…。
塩尾寺に着いたのは15:37だった。そこからなら早足で歩けば16時前に宝来橋南詰に着けそうだった。しかしのんびり歩くと微妙な感じだったで,そこからも早足で下り続けた。結局20分弱で宝来橋まで下ったが,その区間が一番充実していたが,一番苦しかった。そして,なんだかんだで,15:56に宝来橋南詰に到着した。出発から10時間53分でゴールすることができた。掬星台で待たされた時間を単純に引くと,10時間09分で歩いたことになる。これまで11時間半から12時間ちょっとかかっていたのに比べると画期的に早く着けた。我ながら頑張ったと思う。しかし,ここまでの記録は二度と出ないかもなぁ,と思った。それだけ長く苦しい宝塚への道だった。そして,ゴール後にはいつものようにナチュールスパ宝塚で汗を流してから帰路についた。ちなみに,順位を競う大会ではないので,順位は教えてもらえないが,受付に待っている人を数えると34番目のゴールだった。
これで,個人的には 2014 年から数えて11回の六甲全山縦走を達成したことになる。その結果,六甲全山縦走だけで合計 495 km (GPS計測) を歩いたことになる。考えてみるとすごいなぁ…。